『岩崎史奇のコントな文学』

 『笑い』と『人間』を書いているコント文学作家のブログ

『今日も世界で誰かが嘘をついている。マジックミラー号編』

『今日も世界で誰かが嘘をついている。マジックミラー号編』 マジックミラー号? マジックミラー号って何だい? え?アダルトビデオの企画物? 僕はそういう下品な類のものは観た事が無いから知らないよ。 本当だよ、アダルトビデオなんか観たこと無い。 進…

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。卒業式編』

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。卒業式編』 私が6年間通った小学校の卒業式が行われている。 「卒業証書授与」 五十音順に卒業生が校長先生から卒業証書を授与されていく。 そして私の順番が来た。 私は卒業証書を受け取る際に気になってしまった。 …

コントな文学『ベーブ・ルースや軽自動車の所有者のように』

コントな文学『ベーブ・ルースや軽自動車の所有者のように』 元気になってまた大好きな野球がしたい。 その為には手術を受けて病気を治さなくちゃいけない。 でも手術の成功確率は30%だ。 手術を受ける勇気が出ない僕の病室に現れたのはベーブ・ルースのよ…

コントな文学『あの日、僕には勇気が足りなかった』

コントな文学『あの日、僕には勇気が足りなかった。相方編』 「紹介するね。こいつ、俺の相方のミサ」 「そういう芸人みたいに彼女の事を相方って呼んじゃうノリ、見てるこっちが恥ずかしくなってくるよ」って友達じゃない大学の同期に言えなかった。 あの日…

『今日も世界で誰かが嘘をついている。性欲モンスター夫婦編』

『今日も世界で誰かが嘘をついている。性欲モンスター夫婦編』 「ねえ、最近ダンナとしてる?」 「う〜ん…月に1回あるか無いかかなぁ…」 「ウチは週1ペース」 「マジで?めっちゃ愛し合ってんじゃん。ウチなんか下の子ができてから1回もしてないわ。完全に…

コントな文学『心配性 in サンポートホール高松』

コントな文学『心配性 in サンポートホール高松』 僕は心配性だ。 心配性な僕は今日、ヒット曲が1曲だけのシンガーソングライターのライブに来た。 有名なヒット曲が1曲しかない。 しかも3年前の曲なのに地方の1500人キャパのホールが埋まるのか心配していた…

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。一人娘編』

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。一人娘編』 一人娘の彩が幼稚園の年長さんになる年に妻の亜希子が他界した。 それから20年。 まるで死んだ亜希子の生き写しのように彩は美しい女性に成長した。 そして男手一つで大切に育てた彩は昨年、義理の息子に…

コントな文学『憧れていたプロポーズ』

コントな文学『憧れていたプロポーズ』 石﨑将太33歳。 高校卒業後、青森から上京して寿司職人になり10年以上が経過した。 俺はついに明日、小さいながらも夢だった自分の店を出す事になる。 まるで一国一城の主になった気分だ。 オープンを前日に控えた店内…

コントな文学『芥川賞作家なのに親近感』

コントな文学『芥川賞作家なのに親近感』 芥川賞を受賞した小説家なのに… マジで? 信じられない… 家の本棚にマンガしかないじゃん。 しかもドラゴンボールとワンピース全巻揃ってんじゃん。 王道中の王道じゃん。 芥川賞とか純文学って小難しくて暗そうなイ…

『今日も世界で誰かが嘘をついている。菜子ちゃんからの質問編』

『今日も世界で誰かが嘘をついている。菜子ちゃんからの質問編』 「どうしてママはパパと結婚したの?」 5才になる娘の菜子からの質問だ。 6年前、私は付き合っていた彼氏に二股を掛けられていた事が発覚する。 加えて仕事でも大きなミスをして私の心はボロ…

コントな文学『ファーストキス』

コントな文学『ファーストキス』 クラスメイトの亮君と付き合って3ヶ月。 デートは毎週末している。 でもまだキスはしていない。 高校3年生同士が付き合って3ヶ月よ? さすがにもうキスしてOKでしょ。 3ヶ月付き合ったら無理矢理押し倒してキスしても文句言…

コントな文学『もったいないおばけと新人記者』

コントな文学『もったいないおばけと新人記者』 こんにちは、もったいないおばけです。 お前、何で俺が現れたか分かるか? そうか、分からんかぁ… 新人記者のお前は本来行く筈だったベテラン記者が体調不良で、代わりに急遽アメリカに行って大谷翔平の記者会…

コントな文学『占い大好き吉沢花(39)奇跡が起きる1日前』

コントな文学『占い大好き吉沢花(39)奇跡が起きる1日前』 手相、人相、西洋占星術、タロットカード、四柱推命、六星占術、九星気学… あらゆる占いで今年の恋愛運と結婚運が私の人生で最も良い年だと出ているのに… もう12月30日でっせ? 何も起こらないまま今…

『今日も世界で誰かが嘘をついている。先輩、全部嘘ッス編』

『今日も世界で誰かが嘘をついている。先輩、全部嘘ッス編』 クリスマス、今年も1人だけど淋しくないッス 特別な日だって思ってなくて12月25日も感覚的には6月25日と同じッス 好きな女子いないッス 今は恋愛とか興味ないッス 彼女いない方が楽ッス 男友達と…

コントな文学『地獄すぎる』

コントな文学『地獄すぎる』 「もうっ、こんな所で触ってこないでよ」 「大丈夫だよ、裕貴寝てるから」 確かに僕は夕食後、リビングのソファでテレビを観ながらウトウトと寝落ちしてしまったようだ。 だけど、両親の会話が聞こえて目が覚めた。 「なぁ、ちょ…

コントな文学『話が入ってこなかった』

コントな文学『話が入ってこなかった』 通り雨の帰り道、私は密かに憧れていた同じ大学に通う斉木先輩と歩いていた。 雨が上がって南の空に虹が掛かった。 「虹ってね、雨上がりや水しぶきが飛び散るときに見ることができる自然現象で、光が雨滴や水滴に当た…

コントな文学『もったいないおばけと贅沢な時間』

コントな文学『もったいないおばけと贅沢な時間』 はじめまして、もったいないおばけです。 なんで俺がハワイまで来たか分かるか? そうか、分からんかぁ… お前はハワイに来て3日間、ビーチで読書と昼寝だけして過ごしてる。 買い物は?観光は?スキューバダ…

『今日も世界で誰かが嘘をついている。こ、こんなの初めて編』

『今日も世界で誰かが嘘をついている。こ、こんなの初めて編』 す、凄い上手♥ お、大っきい♥ は、激しい〜っ♥ こ、壊れちゃう〜っ♥ こ、こんなの初めて〜っ♥ 『今日も世界で誰かが嘘をついている』

コントな文学『言い方の問題』

コントな文学『言い方の問題』 おいっ、嫁っ。帰ったぞー。今日も街で見かけた女全員、お前よりブスに見えたわ〜。お前は美人で、料理が得意で、優しいけど女のクセに男勝りで気が強い所も魅力的で、ホンマにいい女やと思ってる。ウチのババアも良い人と一緒…

コントな文学『悪い事はしてないけど、後味が悪いオトナのラブストーリー』

コントな文学『悪い事はしてないけど、後味が悪いオトナのラブストーリー』 「優花ぁーーっ」 「さ、悟?」 「優花、ニューヨークになんか行くなっ。これからも、ずっと俺の傍にいてほしい」 「わざわざ私の事を引き止めに空港まで来たの?こんなドラマやコ…

コントな文学『人生200年時代』

コントな文学『人生200年時代』 西暦2220年。令和生まれから人類初の200歳を迎える人間が現れた。人生200年時代の幕開けである。 * 人類初の200歳に達した人間、高木蓮が記者のインタビューに答える。 Q.200歳を迎えた感想を率直に教えて下さい。 一言で言…

『今日も世界で誰かが嘘をついている。黒いTバック編』

『今日も世界で誰かが嘘をついている。黒いTバック編』 ・お嬢様学校と呼ばれる中高一貫の女子高出身。 ・現役の音大生。 ・一度も染めた事がないロングの黒髪。 ・品格があり上品な言葉遣い。 ・自分でお弁当を作る庶民性も持ち合わせている。 ・クラシック…

コントな文学『絶望の瞬間』

コントな文学『絶望の瞬間①』 修学旅行…ハワイから島根に変更だってさ… コントな文学『絶望の瞬間②』 遠距離恋愛になって1年ぶりに会えたのに… ごめんね。 生理来たっぽい… コントな文学『絶望の瞬間③』 ヤバッ、旦那帰ってきた。隠れてっ! コントな文学『…

コントな文学『寝る前に思い出したら泣けてきた。おいなりさん編』

仕事終わりの帰り道、近所に新しくオープンしたスーパーで4割引のシールが貼られた6個入りのおいなりさんを買った。 最近のスーパーのお惣菜って、こんなにレベルが高いのか… 企業努力によるおいなりさんの味に驚き感動した。 しかも4割引後の値段は167円だ…

コントな文学『あと1分耐える方法』

コントな文学『あと1分耐える方法』 「私は心の中で秋川雅史の千の風になってを歌うの。これで1分耐えられるかな」 「アリかもね」 「神聖な気持ちになるのが良いんだと思う」 「私はね、小6の時にお父さんが失業して餃子の王将でアルバイトしてた時があっ…

コントな文学『佐倉莉子(Fカップ)と密室殺人事件』

コントな文学『佐倉莉子(Fカップ)と密室殺人事件』 私の名前は佐倉莉子。大学二年生。 冬休みにスキーを楽しむ為、友人と雪山の山荘に宿泊している。 そして私達が宿泊する山荘で殺人事件が起きた。 殺されたのは同じ宿泊客の大学教授の男。 どうやら密室殺…

『今日も世界で誰かが嘘をついている。カレー編』

『今日も世界で誰かが嘘をついている。カレー編』 共に55歳を迎えて夫婦2人の時間が増えた。 子供達が皆、家を出て独り立ちしたからだ。 妻は以前よりも料理に力を入れるようになった。 特にカレーは手間と時間を掛けて作っている。 市販のルーは一切使わず…

コントな文学『島谷青葉はお父さんとお風呂に入っている』

コントな文学『島谷青葉はお父さんとお風呂に入っている』 島谷青葉は高校生なのに、まだお父さんと一緒にお風呂に入っているらしい… そんな噂を耳にしてから僕はクラスメイトの島谷さんの事を意識するようになった。 次第に僕の中で島谷さんの存在が大きく…

コントな文学『生きる』

コントな文学『生きる』 「次は3日後だね。淋しいけど、3日間だけ我慢しようね。え?どうしたの萌たん?何で泣くの?泣かないで、萌たん。そっかぁ…3日間だけじゃなかったね…3日も会えないから淋しくて泣いちゃったんだね。お願い、泣かないで萌たん」 彼氏…

コントな文学『ニューヨークへ行く理由』

コントな文学『ニューヨークへ行く理由』 地元を離れて人生を変えるという強い想いを燃料に努力を重ね、東京の一流大学に合格し俺は上京した。 大学卒業後は日本で5大総合商社に数えられる大手商社に就職した。 上京してから10年経った。 一度も地元には帰…