コントな文学『生きる』
「次は3日後だね。
淋しいけど、3日間だけ我慢しようね。
え?どうしたの萌たん?
何で泣くの?
泣かないで、萌たん。
そっかぁ…
3日間だけじゃなかったね…
3日も会えないから淋しくて泣いちゃったんだね。
お願い、泣かないで萌たん」
彼氏に優しい言葉を掛けられて、萌たんは更に涙が溢れ出したみたいだ。
昨日、俺が起業した会社が倒産した。
それから自己破産もした。
妻は離婚届を置いて子供を連れて出ていった。
そして今日、人生のどん底で迎えた40歳の誕生日に…
公園の隣のベンチに座る10代か20代前半の若いクソみたいなカップルがクソみたいなやりとりを繰り広げている。
「えーん。萌たんが泣き止まないと、俺まで泣きそうになるじゃんっ」
萌たんと一緒に彼氏も泣き出した。
首でも吊って楽になろうかと考えていたけど、死ぬのが何だかバカバカしくなってきた。
もう一度、頑張ってみようかな…
萌たんと彼氏のおかげで生きる活力が湧いてきた。
ありがとう、萌たん。
ありがとう、萌たんの彼氏。
でも、さっさと破局する事を祈っています。
「絶対絶対、毎晩寝る前に通話して話そうね。
絶対だよ、萌たん♥」