『岩崎史奇のコントな文学』

 『笑い』と『人間』を書いているコント文学作家のブログ

コントな文学『見て見ぬフリする事しかできなかった』

コントな文学『見て見ぬフリする事しかできなかった』


何でこんな所に、こんな物があるんだろう?


学校から帰ってくると通称『童貞を殺すセーター』がリビングに部屋干しされていた。


誰の?


何に使うの?


実際に着たの?


着用前の洗濯?


着用後の洗濯?


父さんと母さん、どちらが入手したの?


?が次々と溢れ出てくるけど具体的な事は何も想像したくなかった。


父さんは仕事で母さんも夕方までパートだ。


今、家には僕1人。


僕には童貞を殺すセーターを見て見ぬフリする事しかできなかった。


両親が仲良しなのは、きっと幸せな事で贅沢な悩みって言われるかもしれないけど、バリバリ思春期に突入した中1の僕にはキツい。


中間テスト期間に入るから、帰宅が早くなる事を母さんに伝えておけば、リビングに童貞を殺すセーターを部屋干ししてなかっただろうなと思うと心から悔やまれる。