『岩崎史奇のコントな文学』

 『笑い』と『人間』を書いているコント文学作家です!

天国からモテ期地獄

コントな文学『天国からモテ期地獄』



人見知りの陰キャで自分に自信が持てなかった学生時代。
バレンタインチョコをもらった事なんて一度も無くて彼女いない歴だけが毎年更新されていた。


そんな俺が女性と初めてお付き合いしたのは社会人3年目の時だ。


相手は美人でスタイルが良くて、性格も明るくて優しいし、気遣いと気配りまで完璧な、本当に俺なんかには釣り合わない同僚の女性だった。


そんな高嶺の花の彼女から告白してくれて交際が始まったのだ。
今までモテなかった分を一気に取り返した気分だった。


それから一年後、俺は彼女と結婚した。


生まれてきて本当に良かったと思える幸せな日々を過ごした。
心の底から満たされると気持ちに余裕が出てくる。


その余裕が仕事面でも良い形で影響したのか、大きなプロジェクトを任される事になった。
すると今度は男として
自分に自信が出てくる。


仕事もプライベートも充実して自信と余裕を手に入れたら今度は女性からモテるようになった。


「私、都合の良い女になりますよ」
「一回だけの遊びでも構わないです」
「今夜だけ彼女にしてほしいな」
「既婚者同士、秘密でお付き合いしませんか?」

などなど、俺が既婚者だと知った上で複数の女性からアプローチされた。


高嶺の花の妻と結婚した上に、妻以外の女性にもモテる。
この世の春だ。
まるで天国のようなモテ期が始まったと思った。


でもね、俺は絶対に妻を泣かせたくないし、裏切りたくない。


非モテだった男に異常なモテ期が到来しても、浮気して遊べない今の状況は地獄。モテ期地獄なのだ。


モテ期が来るのが遅すぎた。
心の底から学生時代や妻と付き合う前の独身時代にモテたかったと思った。


以前、妻に聞いた事がある。
「俺のどこを好きになったの? 
俺なんかの何が良かったの?」


妻曰く、俺は仕事ができて真面目に働くから将来必ず出世する。
そして絶対に浮気できないタイプで、ずっと私を大事にしてくれそうだと思ったそうだ。


地味な見た目も、服装や髪型を変えたらカッコ良くなると思っていたみたいで、実際に彼女の言う通りのコーディネートと髪型にしたら周囲の反応が変わった。


おかげで今は、妻以外の女性からモテる度に、歯を食いしばってお断りして、寝る前こっそり涙する我慢と忍耐の日々。


言い寄ってくる女性を想像の中だけで毎日毎日抱きに抱きまくっている。
想像の中だけだったらセーフだから!


この先、俺は妻だけを見て、妻だけを想って生きていきたい。
だから、もう妻以外の女性にはモテたくない。


我慢できなくなって浮気する前に頼むから、このモテ期地獄を終わらせてくれ。


浮気発覚地獄には落ちたくないのだ。