コントな文学『そんなに悪い奴じゃないかもね①』
毎週土曜日の夜に近所の国道を暴走族が走っている。
妻:「うるさいなぁ…本当、迷惑よね。 警察何やってんのよ、取り締まってよ」
俺:「でもなぁ、あいつら… この前、コンビニの駐車場でたむろしてる所を見たんだけど… みんなマスクはちゃんと付けてたよ」
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コントな文学『そんなに悪い奴じゃないかもね②』
いつも上から目線で高圧的。 主成分がパワハラで構成されてると思われる上司の竹田課長が俺は嫌いだ。
同僚「竹田課長、リラックマの弁当箱使ってたぜ…」
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コントな文学『そんなに悪い奴じゃないかもね③』
深夜、牛丼屋で牛丼を食べていたら上下が黒ジャージで金髪ロン毛のガラの悪そうな男が入店してきた。 男は注文した牛カレーが目の前に置かれると目立たないようにカウンターテーブルの下でそっと手を合わせ、小さな声で「いただきます」と言って食べ始めた。
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コントな文学『そんなに悪い奴じゃないかもね④』
10年ぶりに偶然お会いした地元の先輩の鬼塚さん。 「サネカズラとハーデンベルギアと彼岸花。この3つの花の花言葉知ってるか?」
鬼塚さんは昔から花言葉に詳しい。
「花言葉は再開だ。 久しぶりだな。元気にやってたか?」 柄物のロングTシャツ着てるんかって位に全身タトゥーが入ってるけど鬼塚さんは花言葉に詳しい。
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コントな文学『そんなに悪い奴じゃないかもね⑤』
夏を感じさせる5月の日曜日。 雨上がりの夕方。 虹が出ていた。 虹は堂々と大きな弧を描いていた。
俺と妻は買い物帰り、家路に向かう近所の河川敷で虹を見上げていた。
対岸で、いつかの暴走族達も虹を見ていた。
竹田課長も虹を見上げながらリラックマのハンドタオルで汗を拭っていた。
ガラの悪い金髪ロン毛の男はスマホで虹を撮っている。