『岩崎史奇のコントな文学』

 『笑い』と『人間』を書いているコント文学作家のブログ

コントな文学『私がカワイイ事をワタシは知っている』

カワイイ系だけど美人系!
スタイルも良くてイケてる女の子だって自分で分かってる。


声もキュートでカワイイから私が話し掛けたらみんなキュンキュンしてるわ。


カワイイ上に人見知りしない性格だから子供の頃から会う人みんなが私を可愛がってくれた。
人から可愛いがってもらうにはルックスに加えて愛想や愛嬌が大事なのだ。


シッポ振って媚びてるって陰口言う奴がいるかもだけど私は気にしないわ。
女の子だからいっぱい可愛いがられてチヤホヤされたいの、私は♪


ところが、こんなに可愛い私を捨てた男がいるの。

イケメンで爽やかで優しくて、いつも私を可愛がってくれてたのに。
それなのに、ある日突然いなくなった。

は?正気ですか?って感じ!

他に女でも作ったの?
私よりカワイイ女なんているわけないじゃん、バカ…


それから私は一人ぼっちになっちゃった…


でも、男に捨てられたからって気にしないわ。
私はカワイイだけの女じゃないの。
強くてたくましい女なの。


それにカワイイとね、誰かが助けてくれるし食べてくのにも困らないわ!


私を捨てたバカな男より、もっと優しくてもっとイケメンのステキな男を見つけてやる!





お腹が空いたらニャーニャーと声を掛けてコンビニから出てくる人間の男に近づいていくネコがいる。


ダメだと思いながらも愛想良く近づいてくるネコに男達は何か食べ物をあげたくなってしまうのだ。


エサになる物を買う為にもう一度コンビニに入る男もいた。
自分がカワイイ事を分かっているし、優しくしてくれそうな男性を選んで近づいていく賢いネコなのだ。





「このコンビニかぁ…」


引っ越し中に、はぐれてしまって手掛かりも無く途方に暮れていた。
だけど誰かが動画を撮ってSNSにあげてくれた事がきっかけでやっと見つけた。


「相変わらず初対面の人間にも愛想良いなぁ…
たくましく生きててくれてよかった」


「ニャーニャー」


「俺に気づいてくれたか」


「ニャーニャー」
(今さら女連れで現れて私に何の用?
誰よ、そのブス)


一緒に探しに来てくれた遠距離恋愛していた婚約者が心配している。
「この子興奮してるわね…
あなたに捨てられたと思って怒ってるんじゃない?」


「そうかもね…
迷子にさせてごめんね、迎えに来たよ。
彼女がSNSでお前の事を見つけてくれたんだ。
これからは新しい家で3人一緒に暮らすんだよ」


「ニャー」
(浮気者ーっ)